データ活用全般を担当してる春日井です。
メイン業務は、アプリ行動ログなどの定量データやユーザーインタビューなどの定性データの取得・整備・分析ですが、「データならなんでも任せてくれ!」ということでドキュメント文化の醸成も担当しています。
この記事は、以下のような悩みを持つ方に特に参考にしていただけるのかなと思います。
- 自律的な組織になるためには情報の透明性が大事*1ってよく聞くけど、ドキュメント管理があまりうまくいっていない
- ドキュメント管理ツールとしてNotionが良いってよく聞くけど、高機能過ぎて具体的にどの様に活用したら良いか迷っている
従業員およそ30名のC向け事業会社であるnana musicにおける、Notion活用術をご紹介します。
現在運用しているNotion画面のスクショを多く載せているので、活用のイメージが付きやすいかと思います!
導入背景
nana musicではNotionの運用を開始するまで、以下のような課題を抱えていました。
- 情報が各所(esa、Google Docs、GitHub Wiki、社内ポータルサイトなど)に分散しており、整理されていないので、ほしい情報にたどり着くまで時間がかかる
→ 作業効率の低下 - 情報が不透明なので、誰が何を考えているか・やっているか、よくわからない
→ チームを跨いだ連携・各メンバーの自律性の低下
Notion概要
Notionでどのようなことができるか、どのような特徴があるか、は以下の公式ページなど*2に詳しく記載されています。
Notionはあなたのメモや書類、プロジェクト、データなどを1ヶ所で扱うためのワークスペースです。全ての情報を整理して利用しやすい状態に維持すると共に、情報の共有も支援します。
数ある特徴の中で、データベース機能が非常に強力で、「データの一元管理」と「ほしい情報へのアクセスしやすさ」を両立させることができます。
データベース機能について詳しく知りたい方は、以下SELECKさんの記事などを読んでみてください。
nana musicにおけるNotion活用
WORKSPACEの構成
図のような構成にしています。
「全体のポータルページ」「チーム毎のポータルページ」「マスターデータベース」とその他に分けられます。
「マスターデータベース」が一番重要なので最初にご紹介します。
マスターデータベース
「wiki」「議事録」など大きな粒度でマスターとなるデータベースを作成し、そこで全チームの情報を一元管理しています。
一元管理することで、他チームのドキュメントへアクセスしやすくなっています。
- wiki: 仕様書のようなきっちりしたものから個人的なメモに至るまで、とりあえずここに書く
- 議事録: 基本的にすべてのMTGで作成
- メンバー: 担当業務概要や経歴、趣味など
- イベント: リリースや企画の予定など
- KPT: 各チームで定期的に実施される、KPT形式の業務振り返り内容
- タスク: BacklogやRedmine、Trelloのようなタスク管理
各ページには、以下のように目的や注意事項を記載しています。
また、データベース毎にテンプレートを作成することで、チーム毎・メンバー毎にフォーマットがバラバラになるのを防ぎ、ドキュメントの作成・理解の速度を高めています。
基本的な方針として、会社の方向性に関するCEOの現在の考えが書かれた「全社方針」ページや、プロダクト戦略を検討するMTGの議事録なども含め、センシティブな項目を除き全てのドキュメントは全メンバーへ公開されています。
全体のポータルページ
全メンバーが見るべき情報を1ページに集約しています。
- 今日明日の天気: Indifyというサービスで埋め込み
- 会社からのお知らせ: 主に管理部から全メンバーに向けた共有事項テキスト
- 注目ドキュメント: 社内ツール移行ガイドなど全メンバーに読んでほしいNotionドキュメントのLinked page
- 重要指標*3: Vizydropというサービスで全社KPIを可視化
- ユーザーの声: サポートに届いたご意見、nanaに関するTweetをTaggboxというサービスで埋め込み
- 直近1週間のValueを体現した行動、昨日以降に更新されたページ: 日付でフィルターがかかったマスターデータベースのLinked database
- リンク集: 社内規定ページや各種SNSのnana music公式アカウントページなどのリンク集
極力スクロールするだけで(リンク先に飛んだり戻ったりせずに)、全メンバーが見るべき情報を確認できるようにしています。
この構成は、注力事業やメンバーが増えたら再検討を考えていますが、注力事業が数個・従業員数が二桁である現状においてはベストかなと思っています。
チーム毎のポータルページ
必要な情報にすぐアクセスできるよう、チーム毎のポータルページも作成しています。
ページ内容は、基本的に全体のポータルページと同様の考えで、マスターデータベースに対してチームでフィルターをかけたLinked databaseを表示させたり、頻繁にアクセスするリンクを集めたものになっています。
ただ、チーム毎に最適なページ内容は変わってくるため、それぞれ責任者を決めて、業務に合わせて自由に編集してもらっています。
小さいTips
Zapierを用いてNotionとSlackを連携させています。
SlackでValueスタンプ*4が押されると、誰がどの投稿に対してスタンプを押したかなどの情報が、「Value」データベースに自動で追加されるようになっています。
他に、「メンバー全員で認識を合わせたいこと」「ご意見箱」データベースを使用しながら、経営層及びメンバーがお互いの考えを率直に伝え合い、全体の意識ができるだけ揃うようにしています。
また、業務に関わらないフランクなページも存在します。
「好きなもの」データベースでは、各メンバーが自分の好きな音楽や漫画などを登録し、わいわいしています。
運用してみて
定期的に各チームでNotion運用について振り返りながら、ブラッシュアップしています。
以下に、振り返りで出た意見をいくつかご紹介します。
- 運用前から改善したこと
- ドキュメントを残すことが習慣になったので、仕様について言った/言わないの議論ではなく、書いてあるかどうかになった
- 議事録テンプレのおかげで、MTGのゴールをより意識するようになり、MTG参加者で共通認識を持てるようになった
- 「メンバー」データベースなどでみんなのことが知れてよき
- 他のチームのドキュメントを気軽に見ることができ、質問や議論がしやすくなった
- 経営層の実際に考えていることを詳細に知ることができ、業務の納得感が上がった
- 課題に感じていること
- チームやメンバーによって、ドキュメントの量や質に差がある
- ドキュメントに付与するタグの設定ルールが曖昧であり、ドキュメントの量が増えるに従い、得たい情報にたどり着くまで時間がかかるようになってきている
- 作成したはいいが、更新されておらず内容が古くなっているドキュメントがある
上記の課題は、地道なメンテナンス作業などにより、改善してきています。
それらを含む運用面に関する詳細は、ここでは省略しますが、またいつかブログでご紹介するかもしれません。
さいごに
Notion運用開始から4ヶ月ほど経過しましたが、それなりにいい感じに運用されていて、チームを跨いだ連携や各メンバーの自律性が高まってきているように思います。
情報の透明性を高め、より強い組織になるよう取り組んでいます!
nana musicでは、エンジニア/デザイナーを募集しております!
皆様のご応募をお待ちしております。
*1:LayerXさんの「開発爆速化を支える経営会議や週次定例の方法論 〜LayerXの透明性への取り組みについて〜」がとても勉強になります。
*2:「Notionお役立ちリンクまとめ」が情報量とても多く参考になります。
*3:North Star Metricやグロースサイクルを設計した上でKPIを定めています。いつかブログでご紹介できればと思います!
*4:nana musicには"Keep Surprising", "Clarify The Essence", "Try First", "Respect Mutually"という4つのバリューがあり、それぞれのSlackスタンプがあります。